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回りしている自分を整理する期間となった。走り続けるのではなく、一旦立ち止まって学ぶことが大切であると教えてくれたデンマークの社会福祉制度に心から敬意を表したい。Ⅲ(福)千葉県身体障害者福祉事業団千葉リハビリテーションセンター理学療法士三橋民穂「世界一幸せな国」「高福祉高税」「ゆりかごから墓場まで」「社会福祉国家」「真の民主主義」等々、五日間の合同研修で何度も耳にしたデンマークのキーワードである。私たち41回生は日欧文化交流学院の千葉忠夫理事長と銭本隆行学院長のご指導のもとデンマークの社会福祉を学ばせて頂いた。教育、医療、福祉は無料という高福祉、それを支える高税(消費税25%、直接税約50%)。国家予算の75%が教育、文化、医療保険、福祉に使われている。同じ資本主義国家の日本とデンマーク、どこにその違いがあるのだろうか。そんな疑問を抱きながら千葉先生の講義が始まった。今から46年前、千葉先生は単身デンマークに渡り、教育や福祉を学び、幸せな国の方程式を解いた。それは生活保障、社会福祉国家、民主主義(公平、共生)を確立させることであるという。この国の教育は競争原理主義ではなく人間性、公平性、社会性を育み、人間性を豊かにする。これらの教育が国民全員で支え合って暮らしていこうという(共生)社会福祉国家の原点となったようだ。教育と社会福祉制度、ソフト面とハード面が協調し、幸せだと感じられる国へ成長していったのだと分かった。研修訪問先は全部で10施設、5日間という限られた中で、主に教育、福祉、一部医療の現場を見学させて頂き、デンマークの社会福祉を理解するのに非常に分かりやすく濃密な時間を過ごす事が出来た。そして偶然なことに、私たちは教会で葬儀を見る機会と出産(誕生)の祝いとして家の外に飾る国旗を見る事もでき、千葉先生から「ラッキーな研修生だ」とお褒め?の言葉を頂いた。私が一番印象に残ったのは、統合保育園を訪れた時の事である。ここには68名の子どもがおり30名は特別支援が必要な子、38名が一般支援の子という構成。「Inclusion」という教育について園長先生からお話があった。これは子ども自身が皆と一緒だと思える教育の事だと言う。さらに、子どもたちは誰が障がいの子か分からない、小さい頃から個の違いを学習している。あの子は眼鏡をかけた子、内股で歩く子と言うように個の特徴として捉えており、障がい児、健常児という物差しで自分と他人とを区別しない。デンマークの高福祉をこれらの教育が基盤となり支えている事を実感することができた。さて合同研修中に「ロックアウト」と呼ばれるストライキが起こっていた。教職員が労働環境の改善を求めて休職していたのである。休校はしないが職員の数もまばらであるため、子どもの数も普段より少なく、子どもは家や学童保育で過ごしていた。ここではストライキも珍しくないというから、デンマーク国民は労働環境を改善する事への共通理解があり、社会をより良く変えていこうとする国民のエネルギーを感じた。合同研修は個人研修の準備期間であり、研修生同士の交流の場でもある。研修生の出国前の多忙な日々と研修中の異文化への適応。日欧文化交流学院での交流を通し、勇気づけられ個人研修への力をもらう事ができた。ここに感謝の意を表する次第である。?13?