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じような事業所があるが、より重度の障がい者を受け入れており、そこでは音楽活動やスポーツなどレクリエーション活動を中心に行っている。写真のような週間スケジュールが掲示されているが、スウェーデンでは月曜日は緑色、火曜日は青色というように、スケジュールを示す際に国内統一した色が使用されている。これは、文字の理解が難しい方への配慮で、このあたりが福祉国家と言われる所以である。(2)セクシャリティについてのインタビュー~スウェーデンの現状~今回のスウェーデンでの研修のコーディネートをしていただいたフリーランスジャーナリストの澤野正美さんにスウェーデンの知的障がい者セクシャリティについて話を伺った。澤野さんは主に高齢者社会福祉専門家としてスウェーデンで活躍されているが、知的障がい分野でも活躍されており実際に知的障がい者の性的サポートにも携わったことがあるという。スウェーデンにはセックスアシスタントという専門職があり、それぞれのKommuneに配置されている。性的問題を抱えている障がい者、もしくは家族が携わるスタッフが電話もしくは直接相談できるようなシステムになっており、性行為やマスターベーションの方法や妊娠、出産、その他様々なニーズに対応できるようになっている。また、現場スタッフが性行為やマスターベーションの支援を行うこともあり、それらの指導もセックスアシスタントの業務となっている。ただ、澤野さんは日本での性的支援についての難しさも指摘している。セクシャリティについてオープンではない日本の現状では、到底知的障がい者のセクシャリティを受け入れることが難しく、具体的には他人の性的興味関心、マスターベーションや性交渉をなかなか理解できず、それらを支えるための知識がない。また、限られた専門職だけがそれらに携わるのではクライエントが抱える問題の本質を捉えることができず性の権利は保障されない。普段から携わっている家族や携わるスタッフの理解が、知的障がい者の性の権利の獲得において一番大切なのである。とは言っても、すべての人が性的支援に対して前向きに取り組めるわけではなく、スウェーデンでも人種や宗教、年齢や性別によって考え方はまちまちである。ある程度社会経験を積み重ねた人、例えば結婚や出産、子育てを経験した人は、性交渉やマスターベーションへの支援には比較的前向きであり、逆に若い世代については恋愛相談やパートナー探しについてのアドバイスは的確である。日本でも専門職の育成は大切だが、普段から携わっているスタッフの理解の向上を目指し、それぞれの立場でできることを明確にしていく必要がある。?41?