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また温暖な気候により各家庭にプールがある事も珍しくない。そのためプールや海への飛び込み等により脊髄損傷になる者が多いのも事実である。他には交通事故や転落等によるものも多い。それらが原因で脊髄損傷になると、患者は急性期治療のため受傷現場近隣の病院若しくはPAHへ搬送される。その後、他院で治療を受けていた患者もPAHへ転院し、リハビリテーションを受けた後自宅、一部は施設へ社会復帰する。言い換えれば、ほぼ全ての脊髄損傷者がここPAHでのリハビリテーションを受け、QSCISのサポートを得ながら生活している。退院が近づくとTRPに所属するPT、OT、SW、Ns、Managerの合計10名のスタッフが患者へ必要なサービスを提案し退院後の生活の支援計画を立てる。そして退院前、退院日、退院後に患者宅へ訪問し、実際の問題点や計画の再検討をする。退院後の訪問では具体的な生活面の課題に対して改善策を提案し、地域のPTに詳細な引き継ぎを行う。私はTRPのPTと共にPAHから車で一時間離れたゴールドコーストまで退院直後の家屋訪問に同行した。思わず「家屋訪問でゴールドコースト!?」と声を上げてしまった。言うまでもなく快適なドライブであり、ビーチはとても美しかった。この訪問の目的は、当初、自宅から近所のスーパーマーケットまで車椅子を使用した移動評価であった。しかし、患者宅を訪問すると「前日から腰が痛くて起き上がれない」とのことで外出は中止され、急遽、腰痛に対するマッサージを行う事になった。患者宅にはCares(介護者)も居り、PTはケアで困っていることはないか聞き出し、介護のアドバイスをしていた。また、患者が購入したばかりという数種類のソファーの評価をし、これは長時間座っていると褥瘡になりやすい等、具体的なアドバイスもしていた。日本との違いは、訪問時間もゆったりと設定されており、患者の要望に柔軟な対応ができるところにあると思う。訪問中もざっくばらんに話をして、会話の中から患者が困っている事や問題点を見つけ、その場で対策を考えるという明快なスタイル。マンパワーが充実している裏付けなのかもしれないが、このような「ゆとり」は医療者?患者双方にとって不可欠なものである。(5)PTの労働環境(リフト使用の義務化、アシスタントの役割)北欧と同じく、この国でも労働者の労働環境を法律で定めており、医療現場で気づいたことを二点、お話しする。私たちPTは一日に何度となく患者のトランスファーをする。基本的には人力で行い、難しい場合には福祉用具を使用、それでも困難な時に初めて応援スタッフを呼ぶ。この動作が原因で腰痛は職業病になっているのも事実である。しかし、オーストラリアではトランスファーにはリフトの使用を義務づけている(No Lifting Policyに基づく)。患者本人で移動出来る以外、他の患者がリフト使用の対象になる。そのため、リハビリテーション室にある治療用ベッドの端はリフトが入るよう特別な形状にカットされている。病室もリフトが使用できるよう、一人当たり広いスペースが確保されている。そして、先ほど触れたマンパワーであるが、ほぼ全ての職種にアシスタントがついている。SIUにも2名のフィジオアシスタントがおり、リフトを使用したトランスファーでも、PTと共同作業?64?