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Ⅱ特定非営利活動法人ポニーランド長崎社会福祉士・精神保健福祉士瀬川真由美「笑顔」と「ゆとり」デンマークで強く感じたことである。視察に訪れた施設では利用者もスタッフもニコニコしていた姿がとても印象的であった。デンマークは農業協同組合発祥の地であることからもわかるように互助の精神が国民性の土壌として根付いている。みんなで支える精神を持つ国民と互助を制度として機能させる国の仕組み。この両輪が笑顔を作り出している大本ではないだろうか。改めて日本を見てみるとどうだろう。日本人も本来は農耕民族として、田植えや稲刈りなど地域の人たちが助け合って生活していたはずである。それが最近、勝ち組・負け組、格差社会などの言葉が聞かれるようになっている。何事も自己責任においての行動が必要な社会か(たとえそれが社会保障に関わる事柄であっても)、その時に出来る状態にある人が弱い立場になった人を支える社会か。私たちは真に考える時期に来ているのかもしれない。「ゆとり」についてはどうだろう。今、日本の社会にゆとりがあるだろうか。もちろん生活水準は高い。おなかがすいてたまらないようなこともない。インターネットや携帯電話で常に誰かと繋がっていられる。日常生活の様々なことを機械がやってくれるし、お金を出せば驚くほど上質のサービスが受けられる。それで、ゆとりが生まれるだろうか。心が豊かになるだろうか。まったく個人的な解釈であるがゆとりとは、自分が幸せになるために生活すること、自分の幸せで周りを包もうとすること、だと思っている。今の日本で幸せを分かち合って生きようとする人はどれだけ居るのだろうか。幸せとは傍若無人に欲求を満たすことではない。自分を律し、周りの人たちに感謝しながら生きることである。「自己決定」もデンマークの福祉を考える上でのキーワードである。障がい者の作業所を訪れた際、カフェテラスでお茶を飲んでいる男性がいた。適宜休憩があるとはいえ他の人が作業をしている時間に自分だけお茶を飲むなどということは日本では考えられない。こんなに自分の意思が尊重されるのかと驚く。反対に自分で自分をしっかりと管理しておかなければ、どんどん自堕落になってしまうのではないかと怖くも感じた。高齢者のデイサービスセンターを訪問した際も自己決定を強く感じた。一日の流れとしての日課(食事・機能訓練など)はあるが決して強制ではないとのことであった。訓練の時間だからみんな運動に参加して下さい、ではないのである。自分が障害のある人の施設に勤務しているから特にそう感じたのかもしれない。障がい者福祉の分野では集団行動ができるかできないかも大きな課題として捉えている。もちろん、学齢期の障がい者かお年寄りかで課題の違いがあるのは当然である。それにしても「自己決定」について改めて考える機会となった。大きな財産の一つとなったのが日欧文化交流学院の設立者、千葉忠夫氏の講義である。千葉氏はデンマークの福祉の現状を日本に伝えるだけでなく、どうすれば日本も福祉国家たるものになれるかを考え実践されておられる。実際に日欧文化交流学院を訪れ学生さんたちと交流できたことは新たな刺激となり、自分の学ぶ姿勢を問い直すものであった。?16?