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概要

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ことができ、週に2~3回開催されている。会場には常にサンドイッチやコーヒーなどの軽食が並び、とても和やかな雰囲気。主な参加者は認知症の人たちと介護をしているご家族やその友人、専門職、施設の実習生などで毎回10人~15人程度の参加者であった。会場は本部施設だけでなく、地域の様々な高齢者支援施設で行われるので、その施設の利用者やその家族が参加する事ができる点がとても良いシステムだと思った。またワークショップ後のフォローも万全で、登録したメールアドレスにワークショップ後すぐにソーシャルワーカーから連絡があり、いつでも相談が可能である。また、配布されるパッケージ(冊子やパンフレットなど)は内容も充実しており、アルツハイマーソサエティの活動だけではなく、地域の様々なサポートセンターや社会資源などが分かる内容になっている。担当を務めるソーシャルワーカーは認知症やその介護に対する知識が大変深く内容も専門的であったが、実際に介護されているご家族の参加者もとても知識豊富で、自分の意見を躊躇なく発表され、他の参加者と自身の経験をシェアされていた。(4)認知症とスティグマアルツハイマーソサエティのソーシャルワーカーとディスカッションする中で、認知症に対するスティグマという言葉が多く聞かれた。スティグマ(stigma)とは、もともとギリシア語で肉体的刻印を表す言葉であったが、現在では“他者や社会的集団によって個人的に押し付けられた負の表象・烙印”のことを表し、ネガティブな意味のレッテルである。現在では病気や障害、精神疾患に対するスティグマが見出しうる。認知症に関するスティグマを減ずる方法としては、正しい知識や情報を社会に伝えていく社会教育により認知症に対する社会の認識を変えていく事、認知症である本人やその家族が個々に、あるいは地域を通じて自ら話をすることで当事性に基づいた情報発信や政策提示をすることが重要であると考えられる。トロント・アルツハイマーソサエティの地域におけるレクチャーやワークショップはこの点からもとても重要であり、今後、日本においても積極的に導入されることが望まれる。ビルの16階にある本部受付。窓からは高低差の少ない広大なトロントの地形と街並みを見渡す事ができる。?23?