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概要

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(1)イギリスにおけるボランティアとチャリティの考え方世界的に共通化された「ボランティア」の定義はないが、イギリスの公的文書などにおいては「時間を割いて、報酬を受ける事なく、個人または集団の役に立つこと、または環境に役立つことを目的としている活動」とされていることが多い。ボランティア活動を行う理由としては、スキルや経験を身につけたい、社会と接点を持ち続けたい、何かを社会に恩返ししたいなど様々なものがあるが、何れにしても何事にも強制されず、個人の自発的な自由意志で参加することが重要視されている。社会福祉の歴史の中で、初めて組織的なボランティア活動が行われたのは19世紀のイギリス。貧困者に対する国家政策が十分ではなく、キリスト教信者や有識者による救済活動や教育活動が、ボランティア活動に発展したといわれている。イギリスのボランティア活動の中心的な担い手が登録チャリティ団体であり、チャリティ委員会(Charity Commission)という独立した行政機関により運用されている。イギリスは早くよりコミュニティケアの促進やボランティア活動団体の福祉供給への参画の促進を進めており、民間のサービスの発展を促し、多元的なサービス供給システムが形成された。これによりコミュニティケアの担い手として民間事業体(営利・非営利)が増加することとなり、ボランティア活動団体は、政府や地方自治体から補助金を受けサービスを実施する「契約(contract)」と呼ばれる形態により、サービスが購入される。今回の研修先であるSheffcareやAge concernもチャリティ委員会に登録された団体である。これらのチャリティ団体は政府や地方自治体からの補助金、寄付事業収入、企業・個人からの寄付を財源とし、フォーマルなサービスよりも安価でサービスを提供することができる。また、エイジコンサーンの組織にはボランティアコーディネーターと呼ばれるスタッフがボランティアの募集や調整を行っており、活動の支援も行っている。実際に今回研修を行ったウェリントンコートでも毎日2名以上のボランティアが活動しており、現場における重要な役割を担っていた。(2) Care Quality Commission(ケア監査委員会)イギリスでは、民間サービス発展の促進を行ってきたが、同時にサービスの質の維持・向上が必要であった。この為、2009年4月にCare Quality Commissionが設立され、公的医療機関や民間セクターの提供するサービスの他、自治体などが提供する社会福祉サービスについても評価を行っている。監査人による施設全体の調査だけでなく、実際に入居・利用している方々やその家族への聞き取りなどにより多面的に評価を行っている。評価結果は項目毎に評価され、ネット上にて誰もが見る事ができるシステムとなっている。?32?