ブックタイトルkaigaikenshu_44
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話しを伺う機会を頂いた。ケースの開始は親が直接相談を持ちかけてくるか、児童相談所のCWから支援を依頼されるかである。相談された時に話を聞いて解決する場合もあるが、継続的に支援が必要なケースは親に来てもらうよりも、実際にソーシャルワーカーが家庭に出向き具体的に援助する場合が多い。自分から相談を持ちかけてきた親の方が支援しやすく、児童相談所のCWからの紹介の場合は、親が自分たちの問題に気づいていない場合が多く支援が難しい。ただ、児童相談所が絡んでいる場合は親が支援を拒否したり、子どもの養育に対して改善の努力をしなければ、子どもを家庭外の機関に措置する対応が取られる。そのため、多くの親は子どもを手放したくないので、支援を受け入れている。また、親から援助の拒否を導きだし、子どもを里親など、家庭外の適切な機関に措置できる状況に持っていくことも1つの支援方法としている。しかし、家庭支援のソーシャルワーカーの役割は、子どもを家族から取り上げることではなく、子どものために親と一緒に取り組む事で、親を支援するためにしていることを理解してもらえるような関わりや支援を大切にしていることである。親に対して、子どもへの関わり方を教える他に、夫婦関係調整や離婚後の夫婦および子どもとの関係の持ち方を一緒に決めたりもする。デンマークでは離婚が多く、子どもにとっても大きな影響がある。1人のソーシャルワーカーが持っているケース数は、そのケースがどれ程の支援を必要とするかで変わるので一概に何ケースとは決まっていない。必要であれば24時間体制で対応する。いつ連絡が来るか分からず、緊急対応も入るので苦労もあるのではないかと推察したが、早朝や夜間に働いた分も勤務時間として計算し、平日にその代休を取ることができるなど、フレキシブルであるため、話を伺った方にとっては働きやすいそうである。また、デンマークは全国的に労働環境に対して意識が高く、ケースを持っていても、皆、長期休暇を取ることができるが、その間は別のスタッフがカバーしてくれる。さらに、1つのケースを複数のソーシャルワーカーで持つ場合もある。支援者の立場であっても、一旦家庭の中に入ると問題が見えづらくなるため、客観的な意見を得るためには有効であり、支援や家庭での様子をビデオに撮ってアドバイスし合うこともある。また、児童相談所や学校、施設といった子どもを取り巻く各関係機関と、家庭支援ソーシャルワーカーの関係も良好であり、情報交換や協議を行ったりする機会も持っている。この家庭支援が里親家庭でも利用可能になったのは近年のことである。話を伺った方の意見としては、デンマークはまだまだ里親支援や里親教育が足りず、里親をいかに支援していくかが課題である。子どもにとって適切な里親を見つけるのは難しく、特に小さい子どもの里親になった場合、里親が子どもを自分の子どもだと思い始め、実親のところに返したがらないケースもある。里親をしてもらう前に、また、子どもを里親に委託した後も、里親自身に対する教育がもっと必要である。かつて支援していた家庭の子どもが親となり、再度、ケースを担当する場合があるなど、家庭を悪循環から抜け出させるのは難しいと述べられていた。(3)Langebyhus(ランゲビューフス:児童養護施設)日本で言う児童養護施設であるが、デンマークでは児童養護施設へは家庭復帰が不可能で、里?38?