ブックタイトルkaigaikenshu_44
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か、夜ご飯に何を食べたいかなどを話し合う。その中で、全員が自分の意見を言えるように、また相手の話を聞き、反対意見を言った相手に対しても優しく反応できるように指導している。ミーティングで発言すること、話を聞くことだけでなく、反対意見の適切な言い方、受け入れ方を教えることはすごく大切なことで、デンマークの民主主義に基づいたものである。施設の大きな目的の1つは家庭復帰であり、家族支援やペアレントトレーニングも積極的に行っている。施設で落ち着いていても、保護者の前では暴力的になってしまったり、保護者自体が子どもをコントロールしきれないことも多いので、子どもだけではなく保護者への支援はとても大切である。心理療法を受けている子どももいるが、子どもへの治療や教育方法としては、できるだけ日常生活の中で行うという視点で行っており、子ども同士の関わりの中で最もたくさんのことを学ぶともおっしゃっていた。必要な子どもに必要な教育や療育を行うことももちろん大切であるが、日常生活を治療の場と考えるのはとても大切な視点である。保護者・子ども双方の準備が整い、家庭復帰する際には、可能な限り家庭支援を行える機関を紹介し、家族がサポートを受けられる状態を作るが、施設としてはアフターケアが充分ではないとのこと。個人的には、施設が子どもや家族を次の支援機関に繋げたのであれば、アフターケアはその支援機関の役割となり、施設としての役割は最後まで遂行したと考える。家庭復帰できない場合でも、寄宿生の学校に行かせて自立させるなどしており、施設にいられる年齢制限18歳まで残る子どもはなく、平均2~3年程で退所している。1日の生活は、朝起床~幼稚園・学校に行く~帰宅~みんなで外出~職員が夕食の準備(その間子どもたちはゲームをしたり、調理を手伝ったりと自由に過ごす)~夕食~順番に翌日の自分のお弁当作り~自由時間である。デンマークの夏は22時頃までとても明るいので夕食後も庭に出て遊ぶ子も多く見られる。個室にシャワーとトイレが付いていることもあり、シャワーは夜でも朝でも子どもたちが自由に使える。洗濯や掃除も自身でできるように年齢に合わせて教え、各曜日に掃除の日や運動の日というものが設けられている。毎日の調理をペタゴーが行っていることや、毎日どこかに出かけられるということは、職員数の多さの賜物であろう。現在の職員と子どもたちの関係はとても良好で、職員は皆、Aggression Replacement trainingとRe-attachment theoryの講義を受け、子どもとの対応はこの方法で行っている。これらの理論に基づき、職員は、感情的にならず落ち着いた対応を心掛ける、子どもたち自身がどんな状況であっても常に受け止め、子どもたちに安心できる環境を与える、その結果、子どもたちが大人を試さなくてもよくなるために有効となる。この対応方法は、私たちの施設でも心掛けていることであったので、再度意識に置き、更に努力をするとともに、私たちがやっていることが間違いではなかったという自信にも繋がった。さらに、この施設では子どもがどんなトラブルを起こしても施設から出す処置はしない。例えば、繰り返し無断で外泊をするような場合も、帰ってくるたびに毎回「無事でよかった。心配した。帰ってきてくれてよかった。」といった声掛けをし、職員が子どもにどうして欲しいかを伝えている。時には警察に介入してもらう場合もある。ただ、薬物依存の場合のみ、施設では対応しきれず専門の治療施設に入れる必要があるとしている。?40?