ブックタイトルkaigaikenshu_44
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るという問題点も発生している。それが原因か否かは分からないが、委託されたのは良いが、里親宅を転々とする子どもも多く、これは大きな問題となっている。合わない里親と長期間一緒にいることが与える悪影響も大きいため、子どもの生活の継続性と質の良いケアのバランスはとても大切である。日本では、施設職員・里親・ソーシャルワーカー全てにおいて研修制度が確立できていないことが問題ではないかという話になった。確かに、全体的に見て個人の主観による養育が主で、データを取ったりアセスメントをするという意識はあまり存在しないのではないかとも思える。しかし、“日本の施設職員の全体的な教育(学歴)レベルは高い方で、現場で働く職員は必要となれば時間外の働きもし、施設養育は職員個々の努力のおかげで成り立っている印象である”という現場の努力を認めて頂く言葉もあった。ただ、そのためにバーンアウトなどの問題も生じている。社会的養護の現場で働く職員は、子どもがたくさんの問題を抱えていることを理解し、それを援助するプロであるという意識を持つ必要があり、その上で、職員自身が仕事もプライベートも楽しみ充実した生活を送ることも必要である。これらを実現している職場環境を保持することが、最終的には子どもにとってのよりよい養育に繋がっていくものである。VIおわりに平成23年7月に厚生労働省により「社会的養護の課題と将来像」が発表され、『社会的養護の施設は、虐待を受けた児童の早期の家庭復帰や、家庭復帰後の虐待の再発防止のため、また、家庭復帰はしない場合でも親子関係の回復のため、さらに親子分離に至らない段階での親支援のため、虐待防止の保護者援助プログラムを含め、親子関係の再構築支援の充実を図る必要がある』ことが掲げられた。そして、『親子関係の再構築などの家庭環境の調整は、措置の決定・解除を行う児童相談所の役割であるとともに、児童福祉施設最低基準に定められた施設の役割でもあり、施設は、児童相談所と連携しながら行う必要がある』と述べられている。児童養護施設は、社会的養護の地域の拠点として、施設から家庭に戻った子どもへの継続的なフォロー、里親支援、社会的養護の下で育った人への自立支援やアフターケア、地域の子育て家庭への支援など、専門的な地域支援の機能を強化し、総合的なソーシャルワーク機能を充実していくことが求められている。また、平成26年には同省により、「親子関係再構築ガイドライン」というものも作成されている。上記の将来像は、素晴らしい内容で、その通りであると強く賛同する。家庭支援専門相談員の配置、里親専門相談員の配置、そして人員配置基準の改訂等、改善が認められる。しかし、「課題と将来像」で求められていることを施設が実施するためにどうしていくのか、施設として何をすればよいのかは明記されていない。現場の職員として、個人的には、現状の児童養護施設の体制では、施設に入所している子ども・家庭にしか支援ができないと感じる。さらに、施設に入所している児童の養育をすることで手一杯で、アフターケアを行うのは至難の業である。目指すべき将来像を掲げることはとても大切であるが、実現していくためには、どうしていくかを具体的に考えなければ意味がなく、さら?46?