ブックタイトルkaigaikenshu_44
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kaigaikenshu_44
Iはじめに近年の日本における国民の死に起因する「5大疾病」は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4大疾病に、新たに精神疾患が加わっている(2011/7月~)。職場でのうつ病や高齢化に伴う認知症の患者数が年々増加しているからだ。また、年間3万人に上る自殺者の約9割が何らかの精神疾患にかかっているという研究報告もある。今や、精神疾患は、他人事ではなく、誰でも罹りうる病で、より身近なものになっている。精神保健福祉分野における大きな課題は、うつ病による自殺を防ぐ事と、社会的入院(病気の症状は安定して退院可能な方が、退院後の住居や居場所がない等の理由で1年以上の長期に亘って入院し、その状態が継続されている事)を無くす事である。社会的入院が無くならない大きな理由の1つは、今迄の精神保健福祉が、「医療モデル」中心で行われて来た歴史的背景にあると言える。当事者本人の意思、訴えよりも医者の判断が優先されてしまう。しかし、私は「社会モデル」を推進していく事が必要不可欠だと考えている。当事者の声に耳を傾け、本人の希望に寄り添う事がケアの本質である。社会的入院を余儀なくされ、希望を失っている多くの当事者に共感し、寄り添う事ができるのは同じ体験を有する当事者・仲間「ピア」である。そこで、地域の受け皿としての役割を担う事業所として、当事者による、当事者の為のサービスを提供する事が求められている。人の存在を尊ぶサービスを提供していく為に、ピアサポート(当事者同士の支え合い)が率先して行われているデンマーク、イタリア、オーストラリアを視察し、その実践から学んだ事を活かして、ピアサポートの育成に携わり、精神保健福祉分野に展開していく事が私の責務だと考えている。私自身、20代にパニック障害を患い、そこからピア(仲間)のサポートを受けてリカバリー(回復)した体験が有る。ピア(仲間)の存在は私に希望を与えてくれた大切なもの。今回の研修で私が実体験を通して学んだ「精神保健福祉におけるピアの有効性と肯定的な力」と、もっと大きな視点で「人の存在を尊ぶ関わり」について、より深く、客観的に検証して学べる二度とないチャンスだと思い参加させていただいた。IIデンマークボーゲンセ(4月19日~4月30日)1.Nordfyns Hojskole(ノーフュンスホイスコーレ)~国民高等学校~デンマークにおいては、今回の研修のサブタイトル「人の存在を尊ぶ関わり」について学ぶ事?59?