ブックタイトルkaigaikenshu_44
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マインドの地域コーディネーターに案内してもらい、メルボルン郊外のグループホームや人権擁護団体、そしてメルボルンで開催された全国メンタルヘルスカンファレンスを視察した。この視察を通して学んだのは、コンシューマー(当事者)活動を通して、当事者が自分達の人権を主張して獲得しているという事だ。人権が与えられるのを待つのではなく、積極的に活動して人権を獲得している事が素晴らしく、当事者とそうでない人が横の関係にあるという事の現れである。5.Brook Red(ブルックレッド)~ピア(当事者)が運営する精神保健サービス団体~「ブルックレッド」は、当事者のみで運営する精神保健サービス団体で、組織全体で約20名のピアスタッフが働いている。その内、約10名がピアワーカーと呼ばれる人達である。彼等は、前述した、ピアサポーター養成講座を修了し、ピアワーカーの資格を有している。3日間、この団体で研修を行った。寝泊まりは、「ブルックレッド」の宿泊訓練施設を利用。初日は、「ブルックレッド」が3つの地域で展開している日中活動の支援センターを見学。各センターは、そのコミュニティに即するサービスを提供し、異なる特徴を持っている。私が、インタビューをしたセンターは、主にアウトドアアクティビティに力をいれていた。2日目にセンターのピアワーカーとメンバーの方へのインタビューでは、日本、沖縄の当事者へ励ましのメッセージをもらい、その様子をビデオに録画する事ができた。そのインタビューの中で頻繁に使われていた言葉がリカバリージャーニー(回復の旅)であった。病気を治す、病気が良くなるというよりも、それらの過程の全てが旅のようなもので人生の一部なんだ!という肯定的な響きのある表現であった。ピアワーカー自身が精神の病を抱えた実体験があるからこそ、当事者の心の位置をわかっている、とセンターのメンバーが言っていた。日曜日には「ブルックレッド」のピアワーカーが一堂に会するブランチに招待された。その場では、ピアワーカーのやりがい、ピアワーカーの課題・チャレンジについての話となり、その様子を動画に録画することができた。最終日に他の団体を視察、そこではピアワーカー同士の関わりを見る事ができた。団体により採用している手法は異なっていたが、お互いにリスペクトして支え合っている気持ちがよく伝わってきた。6.ジャネットと友人~コンシューマー(消費者)活動の先駆者達~ジャネット・マーさんは、オーストラリアに「コンシューマー主義」(消費者主義)の考えを紹介したパイオニアである。彼女自身50歳の頃、「チャーチルフェローシップ財団」の助成金を利用して、カナダ、イギリスを視察し「コンシューマー主義」について学んだ。コンシューマーとは直訳すると、消費者である。精神保健サービスを利用している当事者は、自分達がサービスを主体的に選んで利用している消費者なのだ、という考えに則っている。この考えは、1970年代の?68?