ブックタイトルkaigaikensyu45
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kaigaikensyu45
? 9 ?5.4 月26 日 水曜日 9:00 ~ 11:00 視 察: 高齢者住宅・グループホーム Flemlose Plejehhjem 対応者: Lene Stubgaard(リーダー) 報告者: 南東北相談支援センター 主任介護支援専門員 佐藤 真希子 日本でいう高齢者住宅(グループホーム)である。「エデン・オルタナティブ理論」を導入し、高齢者に孤独感・無力感・退屈感を感じさせないことに重きを置き、子どもとの交流や犬の飼育、花などの植物を育てるといった取り組みを行っている。「入居者」ではなく「住人」という概念である。全住人は32 名で、4 ユニットに分かれている。4 ユニットのうち1 か所は攻撃性が高いなどの認知症状が強く表れている状態の住人のユニットであり、残り3 か所は認知症という病名がついている住人のユニットである。認知症状が強く表れているユニットは、特徴として、コミューン(地方自治体)から「単体」として財源を得ていて、配置されているスタッフはこのユニット専属である。職種も医療の認定を受けた介護士やペタゴーなど専門性が高く、住人5 名に対し常時3 名のスタッフが配属されるなど手厚い介護が提供できる体制にある。ケアの専門性の高さが評価され、認知症の地域住民の緊急保護的な受け入れも行っている。保護を行い、専門性の高い職員が支援を行うことにより症状が落ち着けば再び地域の自宅に帰る方、または他のユニットや他機関に移る方などがいる。すべての判断・判定はコミューンの認知症専門コーディネーターが行うことになる。また住人が他施設や他ユニットに移る場合には必ずスタッフが同伴し、スタッフが納得のいく期間まで滞在し引き継ぎを行い、切れ目なく共通のケアを提供することにより住人が安定して過ごせるよう配慮がなされている。 他のユニット3 か所も見学させていただき、その中である女性の住人のお部屋を見せていただいた。女性は自宅で認知症状が強く現れ地域での一人暮らしに困難が生じ、上記ユニットの緊急保護的なショートステイ利用から開始した。症状が落ちついたため現在のユニットの住居に引っ越したのだが、愛犬も一緒であり、愛犬のお世話も自分でしていることなど自分の言葉で説明してくださった。とても認知症が重度とは感じないほどの落ち着いて穏やかな状態であり、孤独感・無力感・退屈感を感じさせないケアが認知症の症状に効果的であることが実証されていると感じた。 この住宅は地域に開放的であり、住人が地域活動に積極的に参加する機会を作っている。また地域住民のボランティアもその方々の意欲によって自由に来ている。住人個人と約束をしているボランティアは住人のお部屋に行くが、それ以外は住人みんなで使用するデイルームでお話し相手をしたり、施設で飼っている犬の散歩をしたり、庭の手入れをしたりと自由にボランティア自身が行いたいことをしている。スタッフはボランティアの方々の心からあふれる意欲を優先し、内容や回数を依頼するといった管理はしていない。それでも毎日何らかのボランティアの方々が来て、住人の心や生活を豊かにするのである。 地域に開かれた住居(施設)として、日本の地域にも参考になる概念であると感じた。