ブックタイトルkaigaikensyu45
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kaigaikensyu45
? 10 ?6.4 月26 日 水曜日 14:00 ~ 16:00 講 義:「ボランティアグループ・看取りの会Vagehjalpen について 」 講 師:Ann Marie Hansen Kirsten 報告者:南東北相談支援センター 主任介護支援専門員 佐藤 真希子 2013 年より看取りに徹したボランティア活動を行っているグループである。2011 年地域住民より「看取りのボランティアはないか」という問い合わせがあり、6 名が発起人となり2 年の歳月をかけて、住民のニーズを探り、倫理や役割を明確にして活動を開始した。現在はグループコーディネーター3 名を配置し15 名のボランティアで活動を行っている。 内容は、いよいよ最期の時期が迫る住民の親族や居住先のコンタクトパーソンから当該グループのコーディネーターへ連絡があり、対応可能と判断した場合、本人のベッドサイドに座り手を握ったり、生活音を耳から情報として入れたりして本人が孤独の中、亡くなるということが無いように見守ることである。ボランティアが訪問を開始する時、すでに本人の意識が無い状態であることも珍しくはない。触れる、生活音を作ることで本人に「そばに誰かがいてくれている」という安心感を得てもらうことを目指している。興味深いのは、自宅だけではなく、多くは居住する高齢者住宅にも訪問する点である。それ故にスタッフとボランティア間の役割の住み分けが難しいと思われるが、当ボランティアグループは「本人の側に居ることのみを行い、決して職員の専門分野を侵す処置やケアなどは行わないことを徹底する」ことを説明し、スタッフの理解を得ている。高齢者住宅などのスタッフは他住民のケアもあるため、最後の時間を迎える本人のそばに片時も離れずいることができない無念さや葛藤があった。しかし、当ボランティアを依頼することにより「最期の時に誰かが側に居てあげられる」と、今まで感じていた無念さが払拭されているとのことであった。 3 名のコーディネーターは2 ケ月ごとに、毎日9:00 ~ 17:00 の間、専用の電話とボランティアのリストを持ち私生活を過ごす。依頼の連絡が来たら必要な人数を判断し(夜間なら3 人の交代体制が必要)、ボランティアに連絡をして人数が集まるか確認する。「最期の時間」の判断は依頼主である。特筆すべき点は、ボランティア団体であるためボランティアメンバーに強制はしない。それ故依頼の電話には「必ずしも受けられるかは分からない」ということを添えてから調整に入る。それでもこの1 年で33 件の依頼のうち26 件の対応をしている。あくまでボランティア自身の希望を優先するため、ボランティアの生活や心理を犠牲にしないよう配慮している。またボランティアの心のケアとして2 名のスーパーバイザーを育成し、その2 名を中心にミーティングを開き、メンバーの想いを打ち明けてもらう機会を作る取り組みを行っている。 コーディネーターや他のメンバーは医療や福祉の専門家ばかりではない。最期の時間に「一人の人間」として亡くなりゆく方の側に居るのである。この目標は十分達成され役割を果たしており、家族やスタッフの「最期の時間に立ち会えなかった」という罪悪感も救われている。今後地域包括ケアが導入される日本で、こういった取り組みの必要性を感じた講義であった。