ブックタイトルkaigaikensyu45
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kaigaikensyu45
? 13 ?9.4 月28 日 金曜日 9:30 ~ 11:30 視 察:成人脳障がい者住居施設 Socialcenter Lillebalt 講 師:Nethe Junkerby Larsen(センターリーダー) 報告者:南東北相談支援センター 主任介護支援専門員 佐藤 真希子 この住居施設は、後天性の前頭葉機能障害といった専門的なケアを必要としている住人を対象としている。そのためコミューン立ではなく広域である州立の施設である。デンマークにはサービス法が制定されており、たとえ国民が障がいを負っても住み慣れたコミューンで生活を送る権利を有することを国が保障しているため、病院で治療を終え退院する際はコミューンが受け入れることが大前提である。しかし前頭葉機能障がい者は学習的応用が困難、突発性の抑制が困難、予測判断ができない、病識が無い、社会適応能力が無いといった特徴があり、一人一人の症状を把握し個別化された専門的なケアが必要なため、コミューンのシステムでは対応が難しいことが多く、州が運営するこの施設に紹介される。この施設では申請を受け付けた後、実態調査を行い、一つ一つのケアを時間に換算し判定を行い、受け入れの可否を判断する。一人一人の症状に合わせてケア内容を検討するため州が負担する保障(利用料金)もそれぞれ違う。長時間個別ケアが必要な時は雇用人数を増やす必要がある。当施設は最大限の人数の職員を雇用しており(住人16名に対し、職員が50 名、臨時職員が10 ~ 20 名在籍する)、重度の障がいを持つ住人を最大限受け入れる覚悟を持って判定にあたっている。入居後一年ごとにケアの内容とそれに必要な時間が再判定されている。職員が専門的なケアを提供し、さらにケアの質を高め続けるため、継続的に研修が行われている。また更に高い資格取得を望む職員がいる場合、予算委員会で認められた場合には全面的に組織が協力している。このように職員の専門性が高まることにより、職員自身の自信が向上し、仕事に対する意欲が高まり、さらに職場環境の質が向上するのである。また、精神臨床心理士や企業臨床心理士による職員に対するスーパービジョンが年4 回行われ、職員の「気付き」を支援している。その他、毎日2 回職員間のミーティングを行い、職員がもやもやした気持ちを持ったまま帰宅することの無いよう職員のメンタルヘルスにも配慮がされている。「私たちの役割は入居住人一人一人が自律性を持ち、彼らにとって意味のある人生を送ることを支援する」という施設理念のもと、職員一人一人が職業意識(倫理)を高めているので、ハード面のみならずソフト面も質が高く、難しい障がいを持つ住人に対し専門的なケアを提供できるのである。リーダーからの説明後、見せていただける範囲での施設見学をした。入居住人は18 歳から対象となり、30 ~ 40 歳代が多い。その中で5 名は敷地内の一戸建て住宅に住み、住人の個別プランに基づいて職員が必要な時間訪問し滞在している。ある住人の「豚を飼ってのんびり暮らすのが夢だった」という話を聞き、実際豚まで迎え、住人が世話をする機会を提供している。実際この住人は豚の世話に気持ちも時間も割くため、不安定となることが少なくなったと判定されている。 専門的なケアが必要であっても、人間一人一人がその人生の主役であり、意味のある人生を歩む支援はできる、ということを改めて学ぶ機会となった。