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概要

kaigaikensyu45

? 26 ?ごす住民を担当し、サービスを提供している。日中のサービス提供のほか、ごくわずかではあるが夜間に何らかの支援が必要な住民へも訪問しており、夜間専門の職員も全チームで3 名の職員が在籍している。この事業の導入可否はコミューンの判定と本人の自己決定に基づく。看護師アシスタントに同行し9 名の住民の自宅へ訪問した。彼女はヘルパーとして勤務した後、医療研修を受け看護師アシスタントになった。 看護師アシスタントは、朝出勤すると、その日に訪問する住民のホームドクターからの看護提供の指示内容を確認し出発する。昼食時は一旦事務所に戻り、チームミーティングを行い、担当している住民の情報交換を行う。看護師アシスタントは看護と介護を提供することができるため、訪問業務の内容は多岐にわたる。デンマークの習慣である「できるだけ自宅や公営住宅といった住み慣れた地域で暮らす」という考えから、訪問するほとんどの住民は40 歳代から90 歳代の配偶者を亡くした一人暮らしの方である。住民が持っている能力を活用しながら支援が必要な部分だけを手助けし、能力を維持しながらできるだけ長く地域で暮らし続けられるよう支援をしている。認知症のある住民には薬を手渡し、服用を確認する。次の服薬時には看護師または看護師アシスタントが同様の服薬介助を行う。また他の住民へは起床の促しをした後、着替えや朝食の準備の声掛けを行い見守り、朝食を食べ始めたところで退室する。ある糖尿病を持病とする住民には血糖値検査を行い、異常が無いことを確認し、その後掃除を行う。また傷の処置が必要な住民には処置を行い、昼食と夕食の準備を行っていた。デンマークではホームドクター処方による弾性ストッキングを着用している住民が多く、着用の介助を行っている。この介助は看護師と看護師アシスタントのみが行える業務である。看護提供を行う住民に対しては疾患名や状態をこまかく把握しているが、介護提供のみを行う住民に対しては疾患名ではなく、その方の生活の全体像を把握している。訪問時に体調不良や異常があれば、各住人が所持する緊急ボタンを押し、医師や救急隊などが駆け付けるシステムである。必要なケアには時間をかけ、必要以上は時間をかけない。すなわち「ほんの少しの見守りと支援があれば一人暮らしを継続できる」という住民の自律を支援しているのである。住民には訪問スタッフとの交流を心待ちにしている方もいれば、交流を望まない方もおり、職員は住民の意向を尊重している。毎日6 ~ 20 名の住民を訪問しサービス提供を行っているが、一人一人の嗜好も実によく把握している。週に1 ~ 2 名の新しい利用者を担当するが「初回訪問が住民も職員もとても気を遣う。信頼関係が構築されると、サービス提供もスムーズになり、住民も安心して生活を送れるようになる」と話されていた。 看護師アシスタントという資格や、その教育課程、サービス提供はこれからの日本の地域包括ケアシステムに必要であると感じた。ほんの少しの看護提供を看護師と看護師アシスタントが共同して頻繁に行うことで、医療ケアを必要とする住民が安心して住み慣れた地域で暮らし続けることができるようになると考えられる。(2)教育部門 デンマークではコミューン自体が看護師や看護アシスタント、ヘルパー教育を行っている。ヘ