ブックタイトルkaigaikensyu45
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? 51 ?(3)通ってきた家族・子どもとの関わり 遠い異国の地からやってきた私は、ボランティアで来ている作業療法士として紹介され、すべての人が快く受け入れてくれた。その中で、複数の家族のセッションに参加できたので、印象に残った方を紹介する。① 自閉症の男児A 君(5 歳)、彼は体を動かすのが好きで、家でもトランポリンやスライダー、スクーターなどを楽しんでいる。2 ?3 年前ほどから利用しており、ここで利用しているプールが大好きだ。彼には1 つ上のお兄ちゃんがいて、待っている間は二人で遊んでいた。A 君は、20 分以上の待ち時間があり、我慢することができなくなった時、お兄ちゃんのことを叩くことがある。しかし、父親が彼の目を見て、胸に手を当て、「Stop」というと落ち着くことができていた。しかしすぐさま繰り返してしまうため、父親はプールで使うゴーグルを見せ、彼はそれを手に取り、残りの時間を座って過ごすことができていた。彼はプールの中では絶えず潜っており、息継ぎもままならないまま次の動作に移る。まさに全身でプールを楽しんでおり、彼の様子は水の中で体を自由に動かせる喜びに満ち溢れていた。父親はこの施設に満足しており、A 君の欲求を満たすために必要なものであると話してくれた。② 脳性麻痺の女児B さん(10 歳)は、ブルールームに入り、ベッドの上でしきりに動いていた。セラピーを6 週間受けた後は、ホームプログラムとして母親がストレッチなどを行なっているという。彼女はバブルタワーの泡と光に興味を持っており、自ら近付いていっては顔を目一杯にくっつけて眺める。体を思うように動かせないアテトーゼ型の脳性麻痺のため、気がつくとウォーターベッドから落ちそうになる。何度も挑戦を重ね、自らの力で好きなことをする意思がはっきりしており、母親は上手に話せないけど主張は強いと話してくれた。イギリスでは、リハビリテーションを受けられる期間は決まっているそうで、日本では長期間にわたってリハビリテーションが提供されていることを伝えると「日本に連れて行ってあげたいわ」と笑顔で話されていた。③ 自閉症の女の子C さん(3 歳)は言葉が遅いということで診断を受けたそうだ。1 年ほどセンターを利用しており、ドラムを叩くのが好きで音楽の部屋を利用する。主張が通らないと強いパニックを起こすことがあり、両親は落ち着くための重いジャケットや毛布を常時持ち歩いている。彼女の気持ちの安定には欠かせないもので、支援センターで支給されたものだ。また、コミュニケーションをとるためのシンボルカード、イヤーマフも手放せない。両親としてはルーティンに行うこと、偏食があることに困っているが好きなことをしているときは落ち着いているため、施設を利用することに満足している。彼女は日曜日も火曜日もどちらも両親とともに利用していた。英語よりも外国語(特に中国語と日本語)の方がよく聞いている様子をみせるらしく、両親も興味深く感じている。他の子と遊ぶことは苦手であるが、作業療法や言語聴覚療法は一度利用しただけであるという。