ブックタイトルkaigaikensyu45
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? 66 ?見を言うことがあるが、それをするかどうかは本人の確認を取ってから行うべきであることを親にも納得してもらうようにしているとのこと。例えば、歯ブラシをどうしても嫌がる人がいたら、無理やりすることはない。もちろん口の機能は大事であるため、ケアをしないわけにはいかないが、別場面で再度本人から許可がもらえるようにするのだそうだ。また、鍵もかけていないため、時々ふらっといなくなる人もいるが、だからと言って拘束することはしない、と言う。 Soren 氏の言葉を聞いて、ここに暮らす人たちが、ストレスなく生活できている根底を感じることができた。(7) 訪問を通しての学び 日本の多くの施設とは異なり、「入所」ではなく「住居」として生活を行なっている。そのため、各部屋には居室内で生活が完結できるように、リビング、寝室、バスルームがあり、個人で購入した家具なども置くことができる。これは日本との大きな違いである。これを可能にしているのは、障害と福祉に対する考え方の違いである。日本では重度な障害を持つ方は、医療と生活支援の両方が必要であると、日本独自の重症心身障害児・者施設が創り上げられた。一方で、福祉大国と呼ばれるデンマークでは、個人の自己決定が尊重され、あくまでも障害を持つ方の意思を尊重し、施設ではなく住居としての福祉を提供してきた。これは大きく異なる点である。Soren 氏の言葉にもあったように、「大事なのは人生であり、障害や病気ではない」という言葉には福祉=生活という概念に基づいた理念を感じる。日本の福祉は、個別支援プランによって確約された看護、生活支援、医療従事者によるサービスを「福祉」として提供している。その時々の判断はもちろん本人の意思が尊重されているが、支援プランによって枠組みが決められていることが多い。また、時には障害が重度であるために、医療的な支援が優先されてしまい、1 年中ベッドの上での生活を強いられることになる。デンマークでは、個人でマッサージをしてもらうための人との契約をすることや、外出支援サービスを自身のお金で依頼するなど、障害を持つ方の「自由」がある。「障害は病気ではない」なら、できないことはサービスを利用し、あくまでも自己決定によって人生を過ごすことが尊重される。そのためには、投薬の管理や経管栄養の提供などを行えるスタッフがいることも重要である。デンマークでは社会保険介護士やペタゴーの中でも、専門的な知識を学んだ人が、職務として行える枠を広げることが可能である。日本において、介護福祉士の職場環境が課題に上がる今、デンマークのようにより専門的な支援を行えるための研修等を行うことも必要なのかもしれない。 これらのデンマークの福祉に対する考え方に、非常に共感を感じるとともに、日本に取り入れることの難しさがあることも実感した。これは施設単独のあり方だけではなく、社会全体が、福祉の考え方そして障害をもつ方に対する見方を変える必要がある。それは並大抵のことではないが、重要なことであると考える。