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概要

kaigaikensyu46

? 102 ?(2)食事について朝食は各フロアにあるキッチンにて、介護職員によって調理される。パンやサラダといった簡単にできる内容である。昼食および夕食は厨房で調理されている。昼食はコンテナで各アパートに運ばれ、介護職員の手によって皿に盛りつけられて提供される。夕食はディナーパック(弁当のようなパックに入ったもの)の提供で、真空パックで温度管理され保管される。ディナーパックは入所者だけでなく、地域の高齢者にも温冷保管庫によって配達されている。常食は2 つのメニューから選択できるようになっており、他にもベジタリアン、ラクトースフリー等疾病だけでなく様々な対応食が存在していた。厨房は昨年6 月に新しくなったばかりで、ハイテクノロジー機器が数多く導入されている。ハイテクノロジースチームコンベクションはメニューボタンから、材料、調理法の順で選んでいくと自動的に調理される。焼き物、蒸し物、揚げ物等の通常の調理から、ケーキまでできる優れものである。また、調理窯は水分量、温度等を設定して加熱を開始すると自動的に給水や加熱を停止する。他にも- 18℃に急速冷凍する機械や真空パックにする機械、肉や野菜をソフト食にする機械等様々な機器が存在した。いずれも調理員の負担軽減につながっており、1 日当たり300 食を5 人の調理員、1 人の洗浄専用スタッフで提供している。調理台も高さが変えられるようになっており、従業員への配慮が感じられた。(3)管理栄養士による食事指導先に述べたように、施設職員としての管理栄養士は存在せず、コミューン所属の管理栄養士が週に1 回程度訪問している。主な仕事は①スタッフの指導、②食事サービスの改善、③入所者の食事相談である。例えば食事提供時の盛り付け方や食事環境の工夫等が挙げられる。ディナーパックをそのまま提供するのではなく、皿に移し替えることで食欲向上につながったという話はまさにその通りであるが、見落としがちな話であると感じた。また、昼食をコンテナから盛り付ける際に、実際に入所者の席まで行って盛り付ける工夫をしたそうだ。食事相談では食欲がない方や低栄養の方等の栄養補給をどのように行うか、嚥下機能の低下した方にどうアプローチしていくか等、私達が日頃栄養ケアマネジメントとして行っているような内容であった。しかし、管理栄養士が直接入所者の食事現場に出向き、食事の様子を見ることはないようだ。日本の管理栄養士の多さに驚き、そして直接入所者に携わることができるため、羨ましいと何度も言われていた。私達はその環境に甘んじることなく、食事のサポートをしていくべきだと強く感じた。ディナーパック(左:常食、右:ソフト食)ハイテクノロジースチームコンベクション調理窯