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概要

kaigaikensyu46

? 7 ?子ども達は朝の7:30 頃から登園してくる。タクシーを利用する子どもがほとんどで、担当制のタクシードライバーがいることで安心して通園できる。中には保護者が送迎をしている子どももいるが、通園する負担を親にかけさせないようにはしている。とはいえ、保護者との連携は大切であり、オンライン上で活動の様子や情報を見ることができるようにしている。登園後は朝の会をし、その後は個人の特性を考慮してグループ分けをし、活動を行う。一般の幼稚園へ行く子どもは統合保育を通して、同年齢の子どもの行いを学ぶ(他児がモデルとなる)。今までは支援学校へ進学することがほとんどだったが、最近では統合保育の中で自らを発展させ、一般の小学校へ進学する子どもも出てきた。Helle 氏によると、隣接する3 つの幼稚園はそれぞれ独自の活動を展開してきた。しかし、統合保育を考える際に、まずはペタゴー同士のつながりを管理職としては意識をした。お互いの価値観を見出し、専門性を利用し合うことが必要ではないかと感じている。統合保育に関しては、この幼稚園に限定されたものではなく、インクルージョン教育は全国的に行われてきている。子どもが集団の中に自分が馴染んでいける力、人との関係性をつくっていく力を育てることがペタゴー共通の価値観であることを理解している。その土台があるからこそ、プログラムに関してはペタゴー達に安心して任せることができるそうだ。子どもの支援に関しては個別の支援計画がペタゴーにより計画され、年間を通して実施される。子どもによって何にフォーカスを当てるか、輝けるところはどの部分であるのか、取り組む優先順位をペタゴーが明確にする。1 年ごとに保護者、ペタゴー、ソーシャルワーカー、セラピスト等がそれぞれの専門性の視野を持って参加し、計画の見直しを行っている。もちろん、保護者が望んでいることや思いも汲み入れている。その計画は決して個別的なものとして実施されるのではなく、この集団の中で遊びを通してどうお互いの関係性を繋げていくかも考えられる。食事に関しては保護者の負担はなく、園で全て用意されている。子どもの状態に合わせた食形態が用意される。食事の後は午睡をし、15 時頃から降園する。玄関先に置かれたチャイルドシートに乗り、乗り合いタクシーのような形でグループで帰っていく。この幼稚園には夏休みなどの長期休暇はない。保護者の負担を減らすこと、そして兄弟がいる場合はその期間に兄弟と保護者が過ごす時間を確保するということだ。また、園には理事会があり、保護者が必ず介入していることが法律で定められている。園に関わる事柄( 保育プログラムや人事等) の決定権は理事会が持っている。保護者から専門職のペタゴーに対するクレーム等はないが、保護者からの様々な質問は多く、熱心さが伝わる。園でのことを家庭で継続してほしい内容、また家庭で行っていることを園でも継続することなどお互いにその必要性がある。これは保護者の協力なしでは成し得ないものであり、職員と保護者との協力体制は必須であると考えている。デンマークにおいては、保育は障害の有無に関わらず、全ての子どもたちに統合された保育が行われるべきだという考えが浸透している。専門家チームのきめ細かなアセスメントに基づいて、一人ひとりのニーズにあった教育を選択できるようになっているのだ。