ブックタイトルkaigaikensyu46
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? 117 ?も嬉しかった。日本は「安全」が重要視される節があり、普通の食事を食べてほしいと思っている嚥下障害を有する入所者の食事形態を変更する際、何とも複雑な気持ちになることが多かった。「最期のときまで、おいしいものを口から食べる」という理想の実現は、難しい。しかし、海外の施設では、経管栄養者に出会うことはほとんどなかった。本人の意思が尊重されており、家族の意向はもちろん大切であるが、主語は本人であるという認識が根付いていた。これは、見直さなければならない点であると強く思う。在宅で暮らすうちは本人が主体となる場合が多いが、施設入所した場合、契約者である家族の意見が重要視される場合も少なくない。今一度、主語は誰なのか、職員間で共有したいと思う。私は施設で働いているが、地域住民へのアプローチをどのように行っていくかは課題のひとつであった。施設入所されたときには既に低栄養となっていたり、必要以上にやわらかい食事を食べていたり、水分摂取量が少なかったりという場面にはよく遭遇する。入所後改善を試みるため、多職種共同で取り組んでいるが、在宅で生活しているうちにもっと介入できないかと考えてきた。介護支援専門員の研修で居宅事業所の方々と触れ合うと、決まって話題になるのが独居もしくは高齢者夫婦の食事管理についてである。毎食の家族の協力は困難であるし、そもそも協力が得られないケースもある。配食弁当は栄養バランスが考えられているが、口に合わなかったり、お金がかかるため予算オーバーだったりする。アメリカでのMeals on PEOPLE(食事デリバリーサービス)の働きは大層興味深いものであった。特に、財源が寄付金であったり、ボランティア団体によって集められていたり、日本での導入は難しいかもしれないが、とても参考になった。地域全体で在宅で暮らす高齢者に興味を持ち、介入していくために、施設発信で広めていくことができることがあると思う。地域包括ケアの実現にはまだまだ取り組むべき課題がたくさんあるが、私達施設職員が主体となって活動することで、少しでも多くの方に高齢者の食事について重要なことは何か知っていただけたらと思う。最後に、私の人生の中で、これほどまでに充実し、濃密な2 か月間はなかったと思います。このような研修に参加する機会を与えてくださった公益財団法人 中央競馬馬主社会福祉財団理事長である畑山様、未知である私を温かく見守り、アドバイスや心優しい言葉をかけてくださった財団スタッフの皆様に深く感謝申し上げます。また、快く送り出してくださった当法人の理事長、施設長はじめ、多くの職員の皆様にも心より御礼申し上げます。海外研修を通して学んだこと、多くの方との出会いは私にとって最高の宝物です。この経験を糧に、当法人および日本の社会福祉の改善に少しでもお役に立つことができますよう、取り組んでまいりたいと思います。