ブックタイトルkaigaikensyu46
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? 5 ?【デンマーク合同研修での講義・訪問施設の概要】1.4 月23 日(月) 9:00 ~ 12:00 講 義:「デンマーク概要 」 講 師:ノーフェンスホイスコーレ短期研修部代表 Momoyo T.Jorgense 報告者:水野 里佳日本とデンマークを比較する際に、背景として歴史、文化、教育、さらには面積と人口についても違いがあることも踏まえておく。そのデンマークは福祉国家や生活大国としてはよく知られており、①医療費、②教育費、③介護費(支援費)の3 大分野においては国民が支払う高額な税金によって還元される仕組みである。これらは「無料」という捉えではなく、税金を支払うことは将来への“投資”であり、何かあったときには国がその責任を負うということである。それ故に、国民の政治への関心は高く、支払った税金の使途についての開示は常にオープンである。福祉の分野において、その対人援助者は皆、同じ教育の土台を持っている。基本的にこの分野に無資格者はいない。教育課程では、理論と現場の経験を検証し、現実的、なおかつ専門的な能力を身につけると同時に自分を認識、自己を開発させて価値観を確立させることが重要であるとされている。では、その価値観とは何か。その人の「肉体」(診断・機能・睡眠・排泄など)、「精神」(その人の精神状態)、「社会」(所属する社会によって人はそれぞれの役割を持ち、その中で人間形成が行われる)、「文化」(生まれた家・宗教・習慣など、その人のHistory)。これら4 つの事柄であり、それらはそれぞれに相互作用がある。専門職としてはこれら4 つの事柄を総合的に見る視点が必要である。一人の人間を考えるときには様々な専門職が関わる。その際に皆がこの同じ価値観を持っているからこそ同等のディスカッションができるのだ。これは“教育”を備えていることの強みである。現場においては、本人中心の支援を行うことはもちろんであるが、支援に行き詰まった際には、二重のバックアップ体制が存在する。まずは、さらなる専門性を持つ専門職が地方自治体から派遣され、介入を図る。現場へのスーパーバイズや資源の割り振り、専門職の派遣などを担う。それでも困難な場合は州による介入をし、ナレッジセンターを利用するなど知と情報を効果的に活かして支援を行う。このように、各専門職、誰が何を担当するのか、それぞれの分野に対しての支援に責任を持ち連帯をすることが当然のこととして行われている。1990 年代に入り、高齢者介護についての教育改革と専門性の強化が行われた。高齢者が自らの暮らしについて考え、①今までの暮らしの継続性、②自己資源の活用、③自己決定が高齢者福祉の3 本柱とされている。これまで行われてきた高齢者施設の建設は減少し、在宅での生活を充実させることが推進された。それを実践に活かそうとする際に、介護者の質と専門性について着目し、新たな専門職として医療介護士資格制度を設け、ヘルパー一人ひとりにも医療的な専門性が必要であると考えた。デンマークの介護改革は、在宅介護の充実と人材教育の両輪で進められてきたのである。